物事がうまくいかなくなる時って、みんなが無責任になる時かもしれない
ちょっと会社員時代を思い出してみたりしたので、記事にしたいと思います。
(組織としての)仕事のやり方って色々あると思います。
- 一連の仕事を一人が担当して進めていく。
- 一連の仕事を複数名で役割を分けて進めていく。
いずれもメリットとデメリット両方あるという事です。
例えば、1. のメリット・デメリットは、こんな感じです。
メリット
- その担当が一連の全業務を負うので、(不真面目な人間が担当にならない限りは)その担当者はクオリティを高めるよう努める。
- お客様から見ても窓口が一つになる。
デメリット
- 一人の人間に対する教育コストが半端無く高くなる。一連の全業務を理解しないといけないため。
- 一人への業務負担が半端無く高い。
- そのサービスを横展開した時に担当者の得意不得意によってクオリティに差が出る。全ての顧客に同じサービスレベルでの提供が難しくなる。
だいたい、新しいサービスの立ち上げの時は、1. の方法を取ります。
組織が小さい時に役割分担がどうとかは、人のリソースが足りないので考える事が出来ません。
担当者は初めての事ばかりという状況でもあるので、お客様と慎重に合意をしながら丁寧に進めます。
真面目な担当者であれば、自分のお客様だからサービスしちゃおうと、責任を持って高いクオリティでサービスを提供します。
ただ、それが組織から見るとオーバーサービスになるかもしれません。
そして多くのお客様にサービスを提供するようになると、万が一、スキルが低い担当者になった場合は、他のお客様に対するサービスに比べて適正なサービスレベルで提供出来ていないかもしれません。
そのような流れを経て、サービスを多くのお客様に提供し、組織が巨大化した時に2. の方法に移ります。
まず、各々の役割分担を定義して業務を進めます。
教育の際も全ての業務に精通する必要が無いので、教育のコストも以前より掛かりません。
場合によって、その分野に関しては、とてもレベルが高い担当者を養成出来ます。
しかし、問題が起こります。
役割分担を定義しても、残念ながら抜け落ちる業務が出てきます。
もちろんそこは定義したものを修正していくしかないのですが、人に依存していた業務が抜け落ちます。例えば、
- 過去にベテラン・熟練の担当者が良かれと思ってやっていた業務
- あるお客様に対して特殊で実施していた業務
です。
これらを、どの部門で実施するかの擦り付け合いが発生します。
場合によって「これまではオーバーサービスだった、本来やるべきではないサービスである」という判断が下された時、お客様には今後は実施しないと断らなければいけません。
お客様からはサービスレベルが下がったと思われてしまいます。
また、2. になると担当者も一連の業務全体を把握出来なくなるため、業務全体に対する影響が判断出来なくなります。
1. の時は担当者があらゆる事を応えられますが、2. になると、いくら真面目な担当者でも「そこは私の担当ではないのでわかりません。その分野の担当者にご確認下さい。」と答えるようになります。
お客様から見ても、1. の時は決まった担当者に何かあれば連絡すれば良いのですが、2. になると、この件は誰に連絡しなければいけないのか、迷うようになります。
代表電話に電話しても、実際に担当してくれる人に辿り着くまで時間が掛かります。
そして本題。
トラブルが起こった時に、それが顕著に出てしまいます。
1. の時は、トラブルが起こったら是が非でも自分が解決をしなければいけないという状況になり、その担当者にとっても最優先の課題になり解決に向かいます。
万が一、その担当者が時間の都合上で対応出来なくても、上司や組織が軸になって解決していきます。
2. の時に、場合によって最悪な事が起こります。
「それ、うちの部門の責任じゃないでしょ? 他でやってよ。」
「うちの部門、人は余ってるけど、その分野を解決出来る人、いないんだよね。」
「次のフェーズからは、うちの部門で対応できるけど、前のフェーズの対応は他で出来ませんか?」
「今、うちの部門、新サービスの立ち上げで手が回らないから、トラブル対応どころじゃないんだよ。」
「今日はトラブルが多発し過ぎていて、うちの部門のリソースが全く無いんですよ。」
(これは、本当に最悪な時です。毎回こんな事が起こっていたら本当に最悪な組織です。)
・・・誰もが無責任になっています。
トラブルが起こった時は、場合によってはチャンスでもあるのに、責任の擦り付け合いになってしまい、解決に向かわなくなります。
全員が不真面目になっている訳では無く、自分の業務を真面目に遂行しようとしているのですが、本来最優先にしなければいけない事に対して、無責任になっています。
こういう事って、色々な場面でも想定できると思います。
トラブルの解決時だけでなく、トラブルの発生原因を辿っていったら、放置されている問題があって、誰も責任を持とうとしていなかったなど。
何かうまく行っていない時は、みんなが無責任になっているんではないか?、と疑ってみてもいいかもしれません。
じゃあ、2. で失敗したら、1. に戻した方がいいのではという意見も出るかもしれませんが、それは違います。
大きな組織で大量の顧客の対応をしていくのに1. の方法はコストが掛かり過ぎます。
なので、いかに全員が無責任にならないかを考えなければいけないのですが、その答えは簡単に出ませんね。。。
最初に小さな規模で始めたビジネスが大規模なビジネスになると難しいなという事を振り返って書いてみました。